ただの役者じゃねぇな
- 作者: 加東大介
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/08/01
- メディア: 文庫
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たかが役者の戦記物、大したことないさ。とおもいきや。
しみます。涙しました。
読みやすい文章。優しい表現。淡々と語る冷静さ。
見事な文学作品なのである。中島梓が感涙したのも頷けます。
ニューギニアの戦地で、戦闘もせずに演劇をしていた、という話なのだ。何を戦争中に遊んでいるのかと。
しかし、この演劇が、取り残された兵士達の生きる糧になる。月に一度の観劇を唯一の希望に、厳しい農作業をし、空襲から避難する。
命がけで観劇し、それに応える演技をする。そんな空間は、役者として、ある種の天国だったのかも知れない。
役者やスタッフが集まってくる過程は、どこかで観たような…。あ、荒野の七人、じゃあなくて、七人の侍。
あ。加藤大介さん、出てたよね。
戦闘シーンはないけれど、戦争の無意味さ、虚しさは、ひしひしと伝わってくる。
落下傘の雪、見てみたいなぁ。