文章を書くときに気をつけること
それなりに文章を書くことを続けている。でも、昔はけちょんけちょんだった。
特許の明細を書いても、
「何を言いたいのか、さっぱりわからない」
「旧技術と、新規な部分との差はどこなの?」
「段落の中で内容が二転三転してる。」
「表現がさまざまで、どれが主題なのかわからない」
散々である。
たしかに、大江健三郎のような長ったらしい文を羅列してた。語順も語尾も変だし、主語と述語が捩れてたりしてた。でも、肝心なところはそこじゃなかった。
自分の書いた文を読んで、『なんでこれがわかんないんだよ。』と思う気持ち、だった。
これが、一番の壁。これをブチ破らないと何も進まない。
悩む私に、先輩が貸してくれたのが、
「日本語の作文技術」(本多勝一)
これは、壁を取り去ってくれた。
理系の頭で、文章を検討できる。その筋道がはっきりとわかる。対比する文例が、ネチネチとしつこく、工学的なのである。これは、実験と検討。理系なアプローチであった。
明細書の主たる目的は、「内容を誤解させない」こと。曖昧さを排除し、技術内容を明快に提示すること。
誤解の余地を与えない書き方というのは、基本的にこの本でマスターできる。
さらに、どんな文章にも応用できるのだ。曖昧な文章の書き方は、駄目文例が示してくれる。
著者は小説向けではないと言っているが、小説にも十分応用できる。
最近は、「君の報告書はわかりやすいねぇ」と上司に言われるようになった。短編をネットに上げるようにもなった(こっちは、自己満足の範囲だが)。すべては、特許のときの上司と先輩のおかげだと、今は素直に感謝する。
折を見て、「誤解させない書き方」を、書いていこうと思う。