文章を書くときに気をつけること2

【冷静に見つめなおす】

 自分の書いた文章は、雑に読んでも主旨がわかってしまう。他人がその文を読んで、「さっぱりわからない」と言っても受け入れられない。「何言ってんの、ぜんぜんわかるでしょ」と、鼻から受け付けない。

これではダメ。とりあえず、一人の人に誤解を与える表現なのです。修正しないといけないのです。

しかし、文章を書いて、すぐに批評してくれる人に読んでもらえる場合は稀有でしょう。この役目は、自分で負うしかありません。これが、結構大変です。作家も苦労しているとききます。

スティーヴンキングは、書いたものを包んでテープでグルグル巻きにしてしまって、ほおって置くといっています。作文指南書でも、しばらく寝かせましょう、と。時間を置くことで、書いたときの記憶や意識を消すためです。

こうして、擬似的な他人になりすまして、改めて読みます。全然わからない部分が「必ず」あるはずです。勢いで書いていた部分に特に多いと思います。読み返して書き直す、これを繰り返すのが、推敲です。

でもね、こんなに時間かけられない場合の方が多いんですよ。作家じゃないんだから。作家さんも、締め切りが近かったら、これはできないです。

そこで、私はこうします。

1 ショートショートを読む。:作者から読者に変身する。これだけで、全然意識が変わる。私はショートショートで十分だけど、人によっては長さが必要かもしれない。

2 落語を聴く:小咄で充分。いつも同じ小咄でも、充分効果がある。

3 深呼吸する:小論文の試験中などでは、上の1や2は実行できない。そこで、変身するために、深呼吸する。意識としては、走っていた自分の足を止める感じ。深呼吸して、周りの景色を見回そう。

この時点で意識的に「別人28号」に変身するのだ。(変身ポーズをとっても、いいかもしれない。)「別人28号」は、作者ではない。書評家なのだ。重箱の隅をつつく。作者が困るようなことを穿り出さないといけない。

さて、変身した私が、目を光らせるポイントは3つ。

1 文と段落の尾っぽ

  文の頭とお尻が一致しないのはダメ。

  段落の始めと終わりの主張が違うのはダメ。

 

2 文の長さと、段落の大きさ

  基本的に短い文にする。

  段落のはじめと終わりが同時に目に入るくらいの大きさにする。

 

3 語順

  頭でっかちの法則。苦しくなったら読点を打て。

 

 日本語は、句点(。)まで行かないと内容が確定しない「恐ろしい」言語です。おしまいに「ではありません。」とつけるだけで、読者の頭の中を大混乱にすることが可能です。最近では「~でなくない?」って、さらに混乱させる語尾があったりします。

この混乱を避けるには、文を短くすることが一番です。句点までの内容は、そこで「腑に落ち」るので、次の文に落ち着いて取り掛かれます。長い文は、内容の断片が頭の中をグルグルしている時間が長くなります。グルグルが長いと、最初の単語が消えたりします。そうなると、さっぱりわからなくなってしまいます。

文を短くすると、頭とお尻が違ってしまう「ねじれ」を避ける事も簡単になります。文の主題も明確になるので、段落内の混乱も把握しやすくなります。

修飾語句は、長いものが先。純粋に「長さ」で決めます。(頭でっかちの法則)

緑の山のように大きな恐ろしい巨人

恐ろしい緑の山のように大きな巨人

山のように大きな恐ろしい緑の巨人

文例がへたくそ(恐ろしい緑って何だよ)ですが、趣旨はわかっていただけると思います。(この辺の文例は、日本語の作文技術を読むと良くわかる。)

大事なのは、他人に成りすまして、ダメを出すことです。「こんなんじゃ、意味わかんねぇし」とつぶやきながら、「他人の文章」を批評しましょう。