江戸学

山本博文教授の江戸学講座 (PHP文庫)

山本博文教授の江戸学講座 (PHP文庫)

対談集ですが、個別授業という感じ。逢坂剛宮部みゆき、ともに小説のねたを仕入れに来ているといったところ。

基本は、江戸の人たちの生活基盤。大名・旗本・御家人(大奥も)たちの生活、出世等に関する話題。武士たちの配置を基本とする「江戸」を機能させる仕組み。などが、満載。

直参の出世のコース、窓際コース。家柄と実力の双方の相互作用で出世するらしい。今に置き換えると、というたとえが面白い。

火付け盗賊改(ひつけとうぞくあらため)(→鬼平)と、普通の与力・同心が違う系列であることをはじめて知った。火付け盗賊改は軍隊の出先機関海兵隊が治安維持に乗り出しているような感じ→だから少し荒っぽいそう)で、与力・同心は普通の警察(市民の安全を守る)。

いろいろ、江戸を治め、機能させていくというのは「最も貧乏な身分」の武士にとっては大変であったと思う。下級武士たちは、基本給では赤字が必至だったよう。袖の下が期待できる役目と、そうではないところでは、生活が雲泥の差。出世して手当てが入らないと、生活が成り立たない。
さらに、実力主義の将軍(八代吉宗など)のときは学力で登ることができたけど、将軍や老中によって付け届けOKのころもあれば、世襲で決まってしまうときもあり、様々。
旗本・殿様も大変だったのですね、今と変わらずに。
遠山の金さんって、日本一の秀才だったんですね。見かけによらず(って、誰のことを言っている、あれは中村梅之助

やっぱり、江戸は職人が良いかな。棒手振りのようなフリーターでも良いけど。旗本ってのは、窮屈でいかん。