おすすめの本たち  本に関する回答集

人力でお奨めの本に回答したのが数回。まとめてみますね。

① グラ娘。氏の「これ読まなきゃ始まんない」http://q.hatena.ne.jp/1347591254 

乱読の私が挙げる本は、どうにも方向性が定まりませんが。徒然と思うがままに。
当然読んでる本もたくさんあるでしょうが、そこは確認ということで。

1海外SFの基礎の基礎 
1 御三家から
アシモフ
「我はロボット」 これを外すと、ロボット系のほかの作品が読めなくなる。
「夜来る」  出世作はやはり出来がいいです。
 
ハインライン
月は無慈悲な夜の女王」 いまだに色褪せない人工知能物の金字塔
「異星の客」 エイリアンというものは、こう考えるというお手本

・クラーク:
「宇宙のランデヴー」   宇宙は不思議に満ちていて、科学では追いつかないのだ

2ハードSFは究極のSF
・JPホーガン:
「星を継ぐもの」  これ読んでないと、SF大会に参加できなかった年がある。
「創世記機械」   私の職業を決定した一冊。エンジニアのバイブルではないかと個人的には思う。

・Gベンフォード:
「アレフの彼方」   ハードSFといえども答えを提示しない。学者(著者)の夢なのかもしれない。

・RLフォワード:
「竜の卵」     ガチガチのハードSFの極み。重力科学者の著者の論文の具現化。

・Mクライトン
「アンドロメダ病原体」  本当にあったことなんじゃないか?という、現実と小説の境目が全然わからないのはすごい。

3冒険活劇と科学考証
・Lニーヴン:
「リングワールド」 冒険活劇と適度な科学考証、SFの理想形の具現化
中性子星」    ファンの計算と小説の結末がずれたらしい。でもいいでしょ。

・Gベア:
「ブラッド・ミュージック」 新世代「幼年期の終わり」前半の展開はいい感じです。

・BJベイリー:
「時間衝突」   科学考証をしているようで、大嘘をつくこの人は大好きです。

・Sキング:
ファイアスターター」  恐怖小説が多いけど、これはSF。超能力小説の究極です。

4 共作の良さ
・ニーヴン&パーネル:
「神の目の小さな塵」  (残念、絶版中)生涯一押しのSFエンタティメント。異世界・星間航法・異星生物・謎解き・戦闘シーン いろいろな要素 が投げ込まれてる。パーネルの緻密さとニーヴンのエンタメが存分に発揮されていて、楽しいのなんの。

・ベンフォード&ブリン:
「彗星の核へ」   科学者の創造の翼がいっぱいに広がったSF。お互いに得意分野を(ベンフォードの機械とブリンの生物)尊重しあいつつオー バーラップさせる。いい感じです。

5 想像を超えた世界 
・FKディック:
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 傑作”ブレードランナー”の原作。未来世界の構築はうまい。
「死の迷宮」 ディックの本質はここに。日常の根幹を折られる感覚は格別です。

ラファティ
「九百人のおばあさん」  とりあえず読んでみて。まじめなSFファンは本を取り落としますけど。

・Dアダムス:
銀河ヒッチハイク・ガイド」  宇宙の究極の答えを教えてくれるシリーズの最初。翻訳がどうも読みにくいんだけど… 古本の価格が高すぎて手に 入りにくいのがね。

・ブラドベリ:
「何かが道をやってくる」  こういうSFもあるのか、という視野を広げてくれた人。


2我が国のSFの古典
2-1 日本の御三家 (ついに日米で存命は筒井だけとなってしまった、嗚呼)
筒井康隆
「将軍が目覚めたとき」 私(だけ)が推す筒井SF(そして全世界のSF)の最高傑作が「ヤマザキ」。「空飛ぶ表具屋」も収録。時代物としてもい い出来の短編が並ぶ。筒井の力量が分かる。
※ 筒井康隆ほど代表作がバラバラな作家はいない。ファン投票もバラバラ。→一般的には「家族八景」と「時をかける少女」を挙げておく

小松左京
「復活の日」  パンデミック物では世界初。特に前半の緊迫感は最高です。

星新一
「おーいでてこーい」  まあ、どれでもいい気もする、どこも入り口で出口がない千編。どうせなら、全部という手もある。

2-2 日本独自のSFの旗手たち
神林長平
戦闘妖精雪風」   スタートは1979年で、まだ決着がついていない。進むほどに深くなるのはこの人の特徴。
敵は海賊・海賊版」 説明なしにSF的テクニカルタームの嵐。SF度をテストされている感じです。

かんべむさし
「水素製造法」    いろいろあるけどこれ。文系と理系をつなぐ傑作。これ読んで握手してくれた人は、お友達。

梶尾真治
「地球はプレイン・ヨーグルト」 出版時には、超話題でした。こういう表現もあるのかと。

・堀晃:
太陽風交点」    日本SF界で海外SFの匂いのする稀有な作家。中身とは関係ないところで有名になってしまったのですが、中身は傑作。

宮部みゆき
「龍は眠る」    ミステリとファンタジーの作家宮部ですが、日本のSキングは超能力を書かせたら天下一品。特にこれはいいです。

栗本薫
「火星の大統領カーター」 SF界からはじかれていると言っていた栗本薫。SFファンとしては偉大な存在です。そのファンとしての作品は、抱腹絶 倒のものばかり。

井上ひさし
吉里吉里人」  これをSFと認めるかどうかでSF大会は大騒動でした。(結局SF大賞)でも、センスはSF。世界構築の緻密さはすごい。

伊藤計劃
「ハーモニー」 惜しい人を亡くした。この世界観と表現力はもったいなかった。ラストが秀逸です。

※これ以降の人たちは、よくわからんのです。

3 かなり偏った時代物
3-1 ある意味正統派
司馬遼太郎
竜馬がゆく」  べたですが、これは傑作。本物以上にかっこいいし、すべての竜馬像がこれで作られてしまったという、すごい作品。
「峠」      かっこいいおっさんが登場するのが、司馬遼太郎の作風。特にこの人はかっこいい。
燃えよ剣」   幕末の新撰組は嫌いだったんだけど、この土方には惚れる。

池波正太郎
鬼平犯科帳」  実在の人物をそのまま写生している感じ。鬼平の存在感がじわじわ伝わってきて、江戸の街の臨場感がたまりません。

3-2 ちょっとはずれた時代物
岡本綺堂
「怪談」     普通の怪談だと、最後に正体がばれて、理由もわかる。でも、この怪談、そこがわからない。その、わからないことが一番怖い。

宮部みゆき
「おそろし」   宮部の書く人情味あふれた江戸の町の人たち。江戸に住みたくなります。


4 日本文学の昨日

宮部みゆき
「火車」     ヒロインに会いたくて、最後まで読んでしまった。小説ならではの展開はさすが。
「理由」     ここまで細かく設定しないと、ミステリって書けないの?と作家志望の人を打ちのめす作品。

東野圭吾
「手紙」     やられました。不覚にも泣いてしまった。
白夜行」    厚さが気にならない。とにかく最後まで読ませてしまうのはさすが。こういう書き方もあるのね、という勉強にもなる。

伊坂幸太郎
ゴールデンスランバー」  ただただ拍手。スタンディングオベーションで拍手したいんですよ、この作品。伏線張まくって、拾いまくる。すごい。

清水義範
「迷宮」     饒舌な清水ハカセが、全然違う文体で書いたミステリ。緻密です。

海堂尊
「ひかりの剣」  普通には「チームバチスタの栄光」の後半がおすすめですが、あえてこの剣道小説を。我が家の有段者(息子です)が唯一認めた剣道シーン。みごとです。

湊かなえ
「告白」     このラインナップにこの作品を加えたのは、私の文体にそっくりだったから。それ以外の理由はありません。

・恩田睦:
「夜のピクニック」  青春小説のお手本。読み終わって、電車の中で拍手しました。(ホント)

誉田哲也
「武士道セブンティーン」 三部作ですが、傑作はこの2本目。当然シックスティーンから読むんだけど。見事に「少女の成長」が描けている。

万城目学
「鴨川ホルモー」   大嘘を大真面目に描いちゃうこの人は、不思議です。

森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」 変わった文体ですが、なじむといい心地なのです。

・三浦しおん:
「まほろ駅前多田便利軒」  特になにか特別な話ではないのです。でも、読みやすくて、彼らとともに動く感覚はいいですね。

村上龍
「海の向こうで戦争が始まる」 龍さんいろいろありますが、これかな。

村上春樹
ノルウェイの森」   村上春樹はここで終わった気がする。(大胆すぎ?)これは傑作。

有川浩
阪急電車」     延々乗っていたい阪急電車。心地いい各駅停車を味わいましょう。(「図書館戦争」は、私的にははずれでした)

5 小説じゃないんだけどね。読むとき書くときのバックボーンとして
サイモン・シン
「宇宙創成」     宇宙もののSFを読むなら、知っておかないとダメなのがビッグバン。その辺の知識を、分かりやすく、面白く、科学者たちの エピソードを交えながら描いてくれる。

福岡伸一
動的平衡」     生命に関する感覚を教えてくれる。科学者とは思えないほど読みやすい。

杉浦日向子
「百物語」      漫画です。物語の断ち切り方を教えてくれた本です。画風が自由自在なのも、この人の技量を思わせる。江戸にお帰りになっ て、いまはどうせれているのやら。

養老孟司
「唯脳論」     世界に誇っていい哲学。脳を主体とする考え方は、人生に通じる話。

竹内薫
「99.9%は仮説」  科学の根幹である、仮説の取り扱いの説明です。ここが分からないと、科学の領域に踏み込めない。

リチャード・ドーキンス
利己的な遺伝子」  人生観が変わってしまった本。これは、衝撃的。

最相葉月
絶対音感」    ルポルタージュのお手本。取材とはこういうものだと。

・ローレンツ:
「ソロモンの指輪」  学者だって、これくらいの物書けるんだ。表題が秀逸です。

6 趣味で文章を書くものとして
本多勝一
「日本語の作文技術」    もうボロボロになってます。何回読んだかわからない。私のバイブルです。

井上ひさし
「私家版日本語文法」   文法というのは、こういうことなのかと。

丸谷才一
文章読本」       この本は一行で要約できたりします。「文章は、ちょっと気取って書け」

・木下是雄:
「理科系の作文技術」   理科系ならでは気を付けること、でもそれは、普通の人でも気を付けることなんです。

橋本治
橋本治大辞林を使う」  日本語の感覚を示してくれています。独特の口調がいやなひとはちょっとつらいかも。

柳瀬尚紀
広辞苑を読む」     この人ほど日本語の操り方にこだわる人はいないでしょう。その人の広辞苑観。

この中から1冊挙げろって?
「宇宙怪獣ラモックス」(ハインライン)だな。(たいてい話題にも上らないんだが、私が小学校で海外SFに目を向けた最初の1冊だった。)


② rsc氏の【古典として残したい本】 http://q.hatena.ne.jp/1349505099



種の起源
一冊の本が投げかけた波紋の大きさは、科学史においてはこの本よりほかにないでしょう。

進化論としては、ウォレスを取りたいのですが、彼の著作は
「マレー諸島」(絶版ばかり)

種の起原をもとめて―ウォーレスの「マレー諸島」探検」
ここに載せられていますが、中身は紀行本。進化論は、種の起源にその座を明け渡しています。


もう一冊。

竹取物語
世界最古のSF「竹取物語」を、星新一の解説で。解説が絶品です。

※BAいただきました。ありがとうございます。


③ はてな主催の「秋の夜長に読む本」 http://q.hatena.ne.jp/1349242128

秋の夜長には、小説ではなくて、科学者の読み物をどうぞ。でも、堅苦しくありません。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) 作者: 福岡伸一
福岡センセのエッセイは読みやすいです。気楽に生物の深淵へといざなってくれます。


ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF) 作者: コンラートローレンツ
動物行動学のローレンツ博士の研究を、かみ砕いて語ってくれます。あなたにもソロモン王の指輪がはまるかもしれません。

人間はどこまで動物か (新潮文庫) 作者: 日高敏隆
人と動物とを考えつつ、動物って面白い。日本の動物行動学の権威は、結構面白い人でした。


利己的な遺伝子 <増補新装版> 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
生物の行動原理はここに記されている。これ読んでから生物学を学ぶと、問題なくいい点数が取れると思う。学生時代に書いておいてほしかったなあ。人生哲学にもつながる深い話です。


もう一つ、小説家が書いた博物学の本、

私説博物誌 (新潮文庫 つ 4-10) 作者: 筒井康隆
先ほどの日高先生のお墨付きのまともな本。内容が正確で表現が面白いから、抜群に面白いですよ。(あら残念、絶版ですか)