先週の読書メーターから

2010年4月19日 - 2010年4月25日の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:704ページ

私たちの選択 Al Gore OUR CHOICE 温暖化を解決するための18章私たちの選択 Al Gore OUR CHOICE 温暖化を解決するための18章
持ちごたえに対し、読み応えがない。重いだけ。こんな写真集みたいにする必要があるのか。米国人は大きな写真しか見ないのか?私たちが選択する内容は書いてないし。石油元締めとか発電会社とか、「頭の悪い」熱帯雨林の住民とかを叩いてるだけ。コジェネと非化石燃料エネルギーを礼賛するだけじゃ、話は進まない。ゴア氏の主張も、温暖化対策ではなく、化石燃料の延命であることがわかる。すべては政治と経済であり、我々の孫子のことを考えているわけではないのだ。示威的なデータと、危機感あおる感覚は、疑似科学と変らない。
読了日:04月21日 著者:アル ゴア
科学との正しい付き合い方 (DIS+COVERサイエンス)科学との正しい付き合い方 (DIS+COVERサイエンス)
タイトルが主旨に合わないと思う。偏ったマニアしか手にしそうな本になっちゃう。「科学」への寄りかかり度が、こういう本を書かせてしまうのは、良く解る。私もそういう人種だからだ。反面、どうでもいい気もしてしまう。東野圭吾の超理系殺人事件ではないが、正しい理系が物を作ればいいのだ。疑似科学に騙されないキッチュのような姿勢と、理系ファンという赤瀬川氏の呼吸が好きだな。技術者衰退の原因は、頭脳が医者に流れるためだから、そっちを解決した方が効果的だとは思う。
読了日:04月19日 著者:内田 麻理香

読書メーター

2冊でした。
科学に対する姿勢の本がそれぞれ。
ゴア氏の本。地球温暖化に対する「解答」だという。いろいろな写真と文章が続く。しかし、こういう技術があって、アメリカはその開発にがんばってる、という主張が書いてあるだけだ。現在行われている「実験的な」施設の写真がいっぱい飾ってあるが、コストや規模や採算等の課題が山積していることはあいまいになっている。
それに、CO2主犯説が揺らいできているからか、温室効果物質を散りばめてあったり、温暖化対策とは思えない農業改革について書いてあったりする。焼畑をやるやつは頭悪いと言わんばかりだし。
危機感を煽って、解決策を明示された気になっちゃうんだろうな、「頭の悪い」アメリカ人は。俺達は、温暖化対策でもリーダーなんだってね。
でも、ゴア氏の主張は、「化石燃料の延命」。そうしないと、アメリカ経済が破綻する。これが目的であって、地球環境の保全じゃないことが、伝わってくる。
ええい、ちゃんとデータ持ってるやつ、出せよ。科学者だろう?政治に負けてどうする。
 
科学との正しい付き合い方 1時間で読了。読みやすいです。
科学と付き合いたい人と、付き合いたくない人がいる。でもね、科学って知らない間に付き合ってるんだよ。ほら。
だから、マニアや学者まかせにしないで、ちょっと振り向いて、ちょっとずつ付き合って。
つまり、科学にちょっと興味があったり、「科学的な説明」は興味のある分野ならば抵抗ない人たち、に対するメッセージとしては、この本は有効だと思う。
主張は、よーく分かる。私がそのものだから。ついつい「科学的蘊蓄」を空気読まずに延々やって、「引かれる」とか。なんでこんな面白いことが「わかんねえんだよ」とキレ気味になったりするからだ。付き合ってよ科学と、という感覚は私の日常でもある。
 
でもね、最近気がついた。科学に対して、
科学が得意 な人と、
科学が苦手 な人々と、
そして、
科学が無理 な連中がいることを。   (中島らも定義:「英語の得意不得意」の延長)
 
この「無理」な人たちは、科学も非科学も宗教も疑似科学の区別がつかない。
「科学的」と言われると、「へえー」となり、「スピリチュアル」といわれると、「そうなの」となる。
「パワースポット」で生き返り、よく当たる宝くじ売り場でくじを買い、10円安い卵1パックを買うために、300円の電車賃を使うのである。遠赤外線やナノって科学的だし、血液型だって根拠がある。Mrマリックは「たぶん」手品だけど、ユリゲラーは「念力」に違いない。
論理を超越して過ごしている人に「科学と付き合って」といっても、科学と疑似科学の違いはわからない。
その違いを示してあげることが必要なんだが、示している人が正しいかどうかの判断がつかないのだ。
これは、根幹が無理な構造で、いかんともしがたい。この人たちは、マイナスイオンは、「正当な科学」と思っているのだ。これをどうするかが、一般化するときの大きなネックである。

「わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか―ニセ科学の本性を暴く」のロバート・L. パーク氏はこう言う。科学と疑似科学の境目を示せるのは、科学者だけである。疑似科学をなくすことも、科学者の使命である。漫然と眺めていてはいけないのだと。(疑似科学とは、仮説として検証するまでもない、偽物のこと。氷の結晶の伝言などの戯言を対象としている)それが、科学を継続させるために、必要なことであると。
科学者および科学ファンたち、「科学が無理」の人たちを理解し、ゆっくりでいいから啓蒙に努めよう。それが、自分のためでもあるのだ。自戒を込めて。