伝える手腕

久しぶりに、本を読んで興奮してます。

単純な脳、複雑な「私」

単純な脳、複雑な「私」

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)の続編です。
「進化しすぎた脳」では、海外(ニューヨーク)での講義でしたが、
今回は、池谷氏の母校での講義になっています。
 
進化しすぎた脳でも、最新のデータ、研究、論文の紹介をしていました。
今回も、たくさん「今研究中」の論文を紹介し、どこまでわかっているのかの、最先端を示してくれています。
この、レビューという事をするひとが、日本には少ないですよね。
レビューって、いろいろな研究について、専門的に紹介することです。
それも、最新の研究をまとめて。自分の研究以外のものも含めて。
 
レビューの典型は、利己的な遺伝子 (科学選書)利己的な遺伝子
ここで述べられている論文や研究は、ドーキンスのものではなく、生物学の様々な研究者の論文やレター。
それを統合して、「利己的な遺伝子」という世界を構築する柱としている。
あの情報の提供の方法・タイミング・まとめ方。
まるで、ドーキンスの考えを支えるために、世界中の研究者が働いているかのようです。
 
このような、「レビュー」って、日本ではあまり評価されていない。
自分の研究ではない部分が多すぎると。
脳科学は、これが緩いらしく、茂木センセもこれに近いですね。まあ、紹介する量が少ないですけど。
 
で、池谷氏です。
最新の論文を、たくさん紹介してくれています。
レビューとは、こういうものなのですね。
そして、プレゼンというものも。
基礎的知識を確認し、足りなければ補強し、先へ進む。
岐路に立てば、予測と検証を行う。
 
内容は、脳をキーワードに
・生命の定義
・意識とは
・自由とは
というかなり哲学的な内容に肉薄する「科学」からのアプローチ。
事実を積み上げていくと、
心と身体
の神秘性と、現実性とが浮かび上がってきます。
 
私は、思考の速度が上がってくると、
「今意識的に考えていること」を「わずかに先行して同じことを考えている存在」が頭の中にいることを感じていました。
そのことを、この本では説明してくれています。
 
読書メーターには
「脳のシステムの解析もすごいけど、この本のすごさは、「最新の情報が豊富」と言うことだと思う。こんなに幅広くレビューをする人が日本にはほとんどいないから。「利己的な遺伝子」のドーキンスの様な人は少ないし、自分が研究者であり、世界の最先端を走りながらレビューもするというのは、すごいことだと思う。この本を読んで「池谷研」に行きたくなった男子は多いんじゃないかな。そうでなくても、理系の人は脳関係の科学へ、一般人は理系へ、そして文系の人さえ哲学や心理学へと足を向けたくなると思う。進路を決定する前に読んで欲しい。」
と書きました。
進路決定前に読むと、結構影響あると思う。
 
是非