第三話

それから、俺の周りは騒々しくなった。とりあえず、プロジェクトのメンバーとして、2人は好きに選んで良いことになったからだ。俺は、ぶつぶつ言いながら、フロアを見渡した。目をそらそうとするもの、逆ににらみつけるものがいて、俺はかえって面白くなった。そうか、俺と一緒に辛酸をなめるのは、いやか。
ふと、ディスプレイに見入って黙々と仕事をしている男が目に入った。そうだな、あいつみたいクールなのは使えそうだ。
「三好君。ちょっと。」と俺が声を掛けると、フロアの全員がこちらを盗み見ている。当の三好は涼しい顔だ。
「今度のプロジェクト、参加してくれないか。君の好きなきれいな海はなさそうだかね。」ヨットが好きな青年には酷な仕事かも知れないなぁ、と俺は思っていた。
「はい、是非。踏んだことの無い星なので。」と、立ち上がって一礼し、又座った。たいした奴だ。
「もう一人はどうしようか。」とつぶやいていると、軽い足音が後ろのほうから聞こえてきた。エレベータが閉まる寸前に、駆け込んできて、「み〜ず〜の〜さん。お困りですかぁ」と、屈託無くしゃべっている。
二人きりなのを確認して、俺は、
「君を加えるわけには行かないよ。地球は危険だからな。」と威厳のある口調で言った。
「私、太陽系的なボランティアに興味あるし、地球には行って見たいんです。プロジェクトに参加させてください。」
と、いつに無く真剣な様子で、俺に言っている。
「そうか。君の参加は、検討しておく。それでいいか。」
「はい。」
エレベータの扉が開くと、スカートをひるがえして軽やかに消えて行った。俺は、すこし微笑んだ。
とりあえず、走り出してみようと、俺は思った。

※智美ちゃんの登場は、名前を伏せる関係上難しくなってしまった。もう少しかわいくしたかった。