最前線にふれる
進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)
- 作者: 池谷裕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/19
- メディア: 新書
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ニューヨークに住んでいる日本人の中高生8人への、米国留学中の池谷さんによる、四日間の短期集中講座の記録。
テンポが良くて、聞き入ってしまう感じがよく伝わってくる。
生徒が少ないせいもあって、聞く方も積極的で、勘のいい受け答えになっている。
なにより、最新の論文・研究の紹介が次から次へと出てきて、ローラーコースターに乗っている感じ。
いいなぁ、こんな講義に参加できて。
高校まで、いや、大学の教養課程までは、「授業」。先生から教えを授かる。
専門課程では、講義。少し意見の交換が含まれてくる。
そして、ゼミ等では、ディスカッション。討論と書くと激しいやり取りになっちゃいそうだが、意見の交換である。
この本の中身は、そのどれでもない。
講義が近いけど、中身が最先端。
そして、受講者が積極的だ。
参加者が、互いに刺激し合っていて、いい感じになっている。
これなら、「眠くなる」なんてことがないだろう。
こんな講義、高校までに参加してみたかったな、と思わせる。
内容も刺激的だ。特に、無意識と意識の境目の部分。
よく自分の思考でも、ほんのわずかな時間分、自分の考えを先行して「誰かが考えている」のを感じる。
自分の思考は、その先行している内容を「トレース」しているのだ。
意識を無意識が誘導している、もしくは、意識と思っているものは、無意識が呼び出したもの、意識は自発ではない、という感覚に近い気がする。
奥の深い、脳の自発活動と、心の問題。
今後の展開が楽しみです。