嘘の皮

江戸の捕物帳の元祖、「半七捕物帳」の抜粋。
編者は宮部みゆき北村薫
ともに半七ファンとして名高い。
 
面白い。
特に、何度読んでも面白いことが分った。
この本には、半七捕物帳の壱巻の作品が結構入っていて、
思わず「再読」してしまったのです。
が、あれ読んだよねこれ。と思いつつ、先を急いでしまう。
思い出すより早く、結論にたどり着きたい。
そんな感じ。
当方の忘れっぽさもあるけれど、何度読んでも面白い、という感じがする。
 
そして、全編から立ち上る「江戸の薫り」。
江戸の街中を、急ぎ足で見て回る。半七親分の背中を追いかけて。
 
言葉のやり取り、蕎麦屋の湯気、鰻の匂い、ぬかるみ、夜の暗さ、行灯の明かり。
そんな景色が、臨場感あふれる語り口から漂ってきます。
 
語り口といえば、特徴的なフレーズがいっぱい。
江戸っ子は、いろいろ口先の表現が多彩でなければ。親分さんならなおのこと。
宮部みゆきの感心したフレーズ「嘘の皮」。
嘘は剥げますわな、確かに。皮の様に。
 
半七、好きですね。
お勧めです。