キングの本質

IT〈上〉

IT〈上〉

IT〈下〉

IT〈下〉

 
アメリカの田舎、メイン州にある街デリー。
そこでは、奇妙な事件が多発する。
ある一定の周期で、延々昔から、事件は起こり続けていた。
住民は、知っているのか気付いているのか、はたまた気にしていないのか。
 
そんな田舎の町に住んでいた、少年たちと、その少年たちが大人になったときの話。
 
キングの前半戦の集大成だと思う。少年時代の描写。いじめっ子といじめられっ子。
黒人とユダヤ人と喘息持ちと軽口とデブとどもり、そして美少女。
キングの少年時代の感覚を、この少年たちに分け与えて、生き生きと生活させている。
キングの愛して止まない、メイン州の景色と共に。
 
 
長いです。この長さで、飽きないというのは、さすがにすごい。少年たちの思考や、行動、言葉などは、その場にいるような、現地の仲間になったようなそんな感じがします。主役となる少年たちの設定を、細かく作っていくやりかたは、こちらに「知りたい」衝動を湧かせる。とりあえず、終わりまでたどり着きたいという、麻薬の様な依存性がある。
敵のITは、設定が微妙・・・とも思える。が、表現でカバーしてしまった感がある。キングに押し切られてしまった。
特に、この作品は、描写が映画的な部分が多い。映画の脚本を書いたり、映画監督をやったりするように、キングは映像側から作品世界に入っているのでしょう。眼前にそのシーンを捉えて、それを原稿に写生している感じがする。特に、ITとの接触シーンがそんな描写が多い。
  
 

キングの世界、まだまだ広いです。旅行を続けないと・・・・