推敲
おせち料理の方から考えよう。
おせち料理 デパートの予約
おせち料理 おばあちゃんの手作り黒豆、美味しかったなぁ。
手伝わされたな。きんとんとか。
おばあちゃん、調子悪くなったとき、きんとん代わりに作ったっけ。
これ。
怪我にして、復帰できるようにしよう。
レシピかいてもらおう。
だから利き手は無事。でも動けない、両足打撲姉が家にいて、私は結婚してるけどまだ子供いない。
母は料理できない。姉もへたくそ。黒豆は妻も食べたいな、と思ってる。
骨子できた。
予約コーナー
病院
弟の見舞い
レシピ受け取り。この時点では正月は病院
正月帰れる
料理練習しなくちゃ
いそいで帰って、作ってみる。
落ちは?
病院の看護婦さん。
練習したおせちのおすそ分けを期待する。というせりふを言ってもらおう。
見舞いは、携帯ですませよう。おお、キーワードが携帯。
このあいだ、親戚の入院した病院で舞台を作ろう。ナースステーションの前にエレベータホールがあったから。
・・・・・・・
「年の暮れ」
「えー、これで2万円もするの。」
「こっちは、1万円だけど、海老がないのよね。」
おせち料理の見本を見ながら相談している夫婦の声が聞こえてきた。デパートのおせち予約コーナーの脇を抜けながら、私は考えていた。今年はこのできあいのおせちを買わないといけないのかな、と。
病院のロビーを抜け、6階へ上がる。ナースステーションに一声かけて、病室へ向かう。「山根秀子」と書かれた扉を開ける。
ベッドには、祖母がすやすやと眠っていた。左手と両足に巻いた包帯が痛々しい。花を入れ替え、窓際を整理する。ベッド際のテーブルに、和菓子がおいてあった。
1階のロビーで、携帯電話を取り出す。『おとうと』を押す。
「ほい。」
「来てくれたんだ、お見舞い。」
「まあな。出張のついでだけど。」
「忙しい?」
「ああ。で、どうなの?」
「手の骨折以外は打撲だから。でも寝込むと後が大変だって。」
「そうだよなぁ。で、正月は?」
「まだわからない。」
「じゃあ、あの黒豆と煮しめにはありつけないのか。」
「そうね、あれはおばあちゃんじゃないとね。」
「うちのが残念がるなぁ。とにかく、正月には行くから。」
「うん、わかった。」
病室に戻りながら私は思い出していた。毎年、祖母の陣頭指揮の下で正月準備をしていたこと。食材の買出し、大掃除、正月飾り、おせち料理作り、年越しそば・・・。そばも今年は出前ね。
祖母は、起きていた。
「由美ちゃん。これ。」
祖母の手には、紙が握られていた。
「なあに。これ。」
受け取って、広げてみると、
<黒豆>
という文字が。
「おばあちゃん、これ。」
「作り方だよ。おせちのね。節子さんは料理ができないから、由美ちゃんに作ってもらおうと思って。」
「え、作ったこと無いよ、私。」
「毎年手伝ってくれただろ。見ていたからわかるよ。それに、黒豆と煮しめときんとんとごまめとそばだけにしといたから。」
それだけあれば十分だって。
「決まりごとだから、少しでも作って、ついたちには食べないとね。」
「う、うん。」
あんまり、料理には母譲りで自信が無い。でも、祖母の勢いに負けてしまった。
「来年の正月は、私はここにいるんでしょ。代わりは任せたわよ。」
なんだか声が震えてる気がする。
<おばあちゃん>のいないお正月なんて、ちょっと想像もつかない。祖母もさびしいし、悲しいのだ。
私ががんばらないと、いけないな。
「やってみる。ありがと。」
レシピを見ながら病室を出ようとすると、看護婦さんにぶつかりそうになった。
「山根さん?」
「はい。」
「先生の許可が出たわよ。お正月、安静にしていられるなら、帰ってもいいって。」
「ホントですか。」
祖母の元へ取って返す。
「おばあちゃん、お正月、うちにいられるって。」
「あら、そう。」
「おせち、がんばって作るわ。今日から。」
「え、まだ早いわよ。」
「絶対失敗するから。もってくるから教えて。お正月、おばあちゃんが食べられるものにしないとね。」
「はいはい。じゃあ、がんばって。待ってるわ。」
紙を見ながら、エレベータに乗ろうとしたら、後ろから声がかかった。
「おせち、がんばってくださいね。」
「は、はい。ありがとうございます。」
「おいしいおせち、お待ちしております。」
看護婦さんのウィンクが、エレベータの扉の隙間から見えた。
こんな感じで、書いてみています。
こりゃ、水野氏でも望月君でも無いわな。
・・・・・・・・・・・・
かぶりましたねぇ。誰でも思いつく感じなんでしょうかね。おせちとおばあちゃんって。