先週の読書メーターから

[>2010年7月12日 - 2010年7月18日の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:645ページ

博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)
ただの変人の話じゃん。でも、その変人の真摯さに打たれる。その人にしか見えない美しさを、作者は繊細な言葉で紡ぎだす。直接語る愛と、ほのかに漂う慈しみ。唐突ともいえる数学の言葉と、日常とは少しずれた生活とが交錯し、不思議な雰囲気を作っている。ルート君がうらやましい。そして、28が完全数って、永遠に私の中に刻まれた。
読了日:07月17日 著者:小川 洋子
新参者新参者
これはOK.面白い。私にとっては波のある東野圭吾ですが、これは当たりでした。構成も、キャスティングも、微妙に絡むエピソードも。特に小物の絡み方が、心憎い演出になっていて心地よい。全体として、人形町のコマーシャルになっているところも好感。お薦めです。
読了日:07月12日 著者:東野 圭吾

読書メーター

 
映像化された作品ですね。見てませんけど。
博士:数式というか数学。それも数字と公式。素数友愛数三角数完全数。純粋にこんな数字を愛でてる人たちがいるということ、そして、その人たちのやっていることに「目を付けて」小説にする作者。変人達。その集約が、この傑作を産んだ。数学を語る博士の様子を繊細に表現する作者と、記憶が消えてしまう非日常を表す作者。ともに同じ筆を使っているが、微妙に違う。その最を感じながら、不思議な空気を吸う。面白い。映画は見ていないが、キャスティングはOKかも知れない。
 
新参者:加賀物はまだ数冊だが、これは良かった。事件そのものは、たいしたものではなく、推理小説として成立しないレベル。まあ、現実的な事件は、ほとんどそんなもので、探偵の出番などないんだけど。しかし、いざ事件が起こり刑事が動き出すと、そのほかの細かい事件が浮かび上がってくる。些細なウソ、ちょっとした秘密、サプライズを試みて隠しておきたいこと。それを掘り起こしては埋めていく。そんな作業が、事件の解決への近道となる。その脇道を描いたこの作品は、アンチ本格推理としていい出来である。加賀刑事の頭脳の冴えと、思いやりが心地よい。加賀刑事って、こんな人だっけ?