これ、面白い。書評として

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キムラ弁護士によれば、「弁護士」という観点から見ると、ほとんどのミステリーはダメだそうである。そこで、どれだけダメかを、実例を元に示してくれたのが、本書である。
となると、全部全然ダメなのかな?と思うのだが、そうでもない。基本的には、「弁護士」から見て「調書の扱い」「警察の対応」「証拠の処置」「裁判の経過」などがヘンという部分と、「記述の矛盾」「動機等の疑問」(メモを取り、付箋を貼り、何度も読んでチェックしたそう)を指摘している。始めの方にある「マークスの山」や「チームバチスタの栄光」などは、結構ケチョンケチョンなのだが、だんだん「完敗」してしまう作品が出てくる。
完敗と言っても、上記部分はやっぱりダメなものが多いのだ。しかし、「その矛盾を覚らせないストーリーのスピード感」や「テンポがよく、欠陥を補って余りある」という評価を下しているものもある。そうなると気になるではないか。本職が「矛盾を無視してまで読んでしまったテンポ」ってどんなの?って。「長いお別れ」をダメと言い切っている人が「完敗」した作品ってどんなの?って。
まあ、「冬のソナタ」にも完敗している(電車でボロボロに泣いたそうですが)ので、なんともいえませんが。
とりあえず、並みの書評より「読んでみようかな」と思わせる本です。