はやぶさ ショート・ショート 集

#hayabusa ハッシュタグでつぶやいた、ショートショートを並べてみました。


はやぶさ ショート・ショート集



一 ”聖地” 

アボリジニの聖地に、担当者が着く。
そこは、祭りの最中。
歌を歌い踊る人ごみの中を、分け入っていくと、
大きな祭壇が。
そこには、焼け焦げたカプセルが鎮座していた。
隣の通訳がつぶやく。
「神からの贈り物、聖なる石」だと歌っています。・・・


二 ”長老”

アボリジニの聖地。
そこは祭りの最中。
歌い踊る人ごみの中を分け入っていくと、
大きな調理台が。
そこでは、まだ熱いカプセルを使って、
チャーハンを作っているアボリジニの長老が・・・。
「神がもたらした、聖なる鍋と歌ってます」と通訳が呟く。
長老の纏う布からは沢山の紐が…

三 ”滲出”

トンネル効果で浸み出してしまった、イトカワナイト。
地球の中心に向かって、ゆっくりと進んでいく。
これから150年に渡って、地球は次第に蝕まれていくのだ・・


四 ”侵略”

要点をまとめよう。
1:エイリアンはウィルスサイズ
2:大気圏突入温度にも耐える
3:すでにはやぶさ本体についていたものは、気流に乗って拡散
4:カプセル付着分は広範囲に拡散中。
そろそろ、君の所にも。

五 ”絶滅”

ダイナソーキラーの成分分析で、はやぶさの金属を検出しました。」
「あの突入で、タイムスリップしたのか」
「でも質量が」
「過去へ向かうと、質量とエネルギーが増大するんだ」
「私たちは何をしたんでしょうか」
「…」


六 ”報告”

宇宙研から3km地点です。
いまのところ異常はありま…

ザーーーーー


七 ”子孫”

「どうだい、微粒子のSEMは取れた?」
「ええ、これなんですが…」
「こ、このラッコの様な形は…」
「そうなんです、イトカワそっくりなんです」
「この微粒子はなんなんだ」
「はあ、なんとなく…」
「なんだ?」
「その、子供ではないかと。」
「え」
イトカワのです」
「・・・」
「・・・」


八 ”準備”

「微粒子のSEM像は撮れた?」
「ええ、これです。」
「こっちで入っちゃった奴を、分離するの大変だなぁ。」
「いや、こんなこともあろうかと」
「真田さん」
「良く見ろ、クリーンルーム内の微粒子には、地球の”E”と刻印しておいた。」
「あ、ホントだ。ここに書いてある。」


九 "塵埃”

クリーンルームで一番のゴミの素ってなんだか知ってる?」
「人でしょう?」
「その通り。皮膚片や、フケなどが多いんだな。」
「じゃ、衛星フェアリングにはフケがくっついてる?」
はやぶさは、組み立て技術者のフケを運んでいたんだ」
「な、なんだってー」


十 ”目的”

「微粒子の成分分析の結果は?」
「これです」
「ん?プラチナ?」
「もう一つはダイヤモンドです」
コンタミだろう?」
「いやイトカワ由来です」
「!」
イトカワは宝島だったんです」
・・・
(報道)
はやぶさ2の行き先は、またイトカワです。理由は未発表ですが・・・」



十一 ”物体”

「これは、原始的な菌類の死骸ですね。」
「え、生命体だったのか。」
「はい」
「死んだのは、何億年前なんだろう?」
「いえ、数年前です」
「え、はやぶさ到着頃には生きていたのか。何で死んだんだろう」
「イオンじゃないでしょうか」
「?」
プラズマクラスターってイオン…」


十二 ”標的”

電子顕微鏡写真上がってきました。」
「細かい模様がたくさんあるな」
「拡大率上げます」
「これは、文字ではないでしょうか」
「解析できるか」
「どうやら、名前のようですね」
「?」
「形も真球ですし」
「?」
「これは、ターゲットマーカです。イトカワから打ち込まれた」
「!」



十三 ”原因”

微粒子採取の映像をスロー再生する。
石英の針で採取する寸前、微粒子が動いているように見える。

解析結果報告


ターゲット:微生物
状況:死骸
死因:刺し傷

十四 ”刺激”

「ガス分析の結果か…ずいぶん複雑な有機物が入ってるな。」
「これ、同じ物質です。」
「?」
「嗅いで見てください。」
「!臭っ、これは」「ご存知ですよね」
カメムシ…だな」
「そうです」
はやぶさは、イトカワを刺激した、ということか」
「そのようです」


※ 以上14作。自分では、「聖地」と「子孫」がお気に入りです。


みなさんは、どうですか?